中高一貫教育 本当にいいの?! | 中学受験向け家庭教師比較

menu
中学受験に強い家庭教師比較サイト-中学受験Review > 家庭教師コラム > 中学受験編 > 中高一貫教育 本当にいいの?!

中高一貫教育 本当にいいの?!

中高一貫教育とは

中高一貫教育と一口に言ってもその中にもいくつかの形態があります。例えば私立の学校では同じ敷地内に中学部と高等部があり、施設(講堂や食堂など)も同じところを使ったり、教師もどちらにも絡んでいるという場合があります。

この場合はまさに一体化しているので中学部の生徒もほぼ100%が高等部に進学します。その生徒が中学生のうちから知っている先生も多く、生徒も馴染んだ学校なので非常にスムーズに進学することになります。

その次に密接な関係にあるのが併設型です。中学校のすぐ近くに高校があり、あくまで中学の延長という位置づけで高校があります。この場合も通う場所がほとんど同じ場所のため、高校への進学が自然な形で行われます。

だいたいの場合が経営者が同じで、教師間の行き来もあります。私立で中高一貫教育を行っている学校は教員募集の段階で「中学・高校の両方の教員免許を持っていること」を条件にしていることが多いというのは、ここに理由があります。

もう一つの形態が連携型です。経営母体は違うものの中学校と高校が連携する形をとっていて、一応推薦入試を受けて進学することができるということで完全に外部から入るよりは有利な条件で進学できるといったものです。このように中高一貫教育にもいくつかの形態があります。

周りとの関係性

中高一貫教育にはメリットとデメリットとが存在します。もちろんメリットが魅力的だからこそ中高一貫教育が注目されているのですが、やはり残念なことにデメリットもあるのです。

まず代表的なものは「6年間同じ」ということなのです。これは色々な面でメリットになることもあるのですが、デメリットにもなります。入学したけど何か思っていたのと違う、と感じても同じ教師、同じ友達の顔ぶれで6年間進むのです。

これは苦痛以外の何ものでもないでしょう。また、人見知り気味な子どもなので中高一貫教育の学校に入学したという生徒でも高校進学の時に外部の生徒が入学してくることがあります。

そのときに中高一貫教育でありがちなのが、内部進学生と外部生との派閥ができてしまうことです。高校生活が始まってもそれぞれのグループに分かれてしまうことで、関係性がうまくいかない時があります。

一般的な高校では入学の時点で関係性がリセットされて、みんな一から関係を作るのですが、中高一貫教育の場合は新たになる部分と前からの関係性が続く部分があるので、それがデメリットとなる場合があるのです。

勉強進度について

中高一貫教育のメリットでもあるこの勉強進度もデメリットになりえます。

そもそも公立の中学校と私立の中学校では勉強進度が違います。最近増えてきた公立の中高一貫教育の学校でも勉強進度は違います。例えば公立の中学校で3年間で習う内容を中高一貫教育の学校では2年間で終わらせます。そして3年生では高校内容に入っていくのです。そうして前倒しで勉強させていって、高校3年生のときには大学受験用の勉強をすることができるように仕上げていくのです。そのため、高校からの外部入学生は基本的に募集しないという学校もあります。これはすでに学習進度がずれているために調整が大変だからです。そしてこの学習進度、勉強進度は理解がそんなに早くない生徒にとっては非常に厳しいものになります。まだ完全に理解して定着していないのに勉強内容はどんどん先に進んでいくのです。そして理科や社会のように分野がガラッと変わってしまう教科に関してはそのときにリセットできる可能性がありますが、英語や数学のように積み重ねていく教科は一度分からなくなるともうついていけません。どこかのタイミングで止まってくれれば追いつくこともできるのですが、中高一貫教育の学校ですので、6年間進度は止まりません。これが大きなデメリットとなるのです。

受験に関して

中高一貫教育の学校に関してはメリットであることが同時にデメリットになることがあります。

その一つがこの「高校受験がない」ということです。これは生徒にとっては非常にメリットです。高校受験がないために自分の勉強したいことを落ち着いて勉強したり、クラブ活動に打ち込んで中学高校と続けて行うことができたりします。それを目的として中高一貫教育の学校に入学させる保護者もいます。

しかしこれは間違いなくデメリットになる可能性があります。一般の中学生が受験勉強をして緊張感を持って高校受験を行い、合格して入学してくるのに対して、中高一貫教育の生徒はそれらを経験しません。

そのために緊張感がない、高校受験に向けて必死に勉強することもない、そのまま高校生になるのです。よく中高一貫教育の学校で内部進学生よりも外部から高校に入学してきた生徒の方が圧倒的に学力が高いということがあります。これは考えてみると当然で、内部進学してきた生徒が受験勉強をしていないのです。

それではその学校に入学するために必死に受験勉強してきた生徒と学力の差があって当然です。その学力の差があるまま高校生活が進んで大学受験に向かうことになります。高校受験を経験してきた生徒にとっては3年ぶりの受験ですが、中学受験以来になる生徒にとっては6年ぶりの受験ということになります。ここでも受験というものと長い間離れているということがマイナス要素として出てしまうことがあるのです。

どんどん世間の常識から外れていく?

これは全員に当てはまるわけではありませんが、中学受験をして中高一貫教育の学校に入学していく子どもたちが「世の中の常識」から外れているという意見があります。

みんなが遊びまわっている小学生時代に受験勉強のために塾と宿題ばかりの生活を送り、ゆったりした学習ペースの公立高校で遊んだりクラブに熱中したりもせず速い学習進度についていくために勉強に追われる。

そんなふうな生活を送っていくあいだに世間の常識から外れていくというのです。たしかに夜の遅い時間帯に電車に乗っていると塾帰りであろう小学生が2、3人で騒いでいるのを見かけることがあります。

友達と遊びまわることがなかったために友達が少ない、遊びを通じて知る常識がない、などと思われることもあります。また、中学・高校と同じ校舎で同じ顔触れのため世間も狭くなりがちです。

大学までついている付属であればその中のメンバーと大学まで同じかもしれません。とにかくありがちなのは「世間が狭くなる」「みんなが経験していないことを経験しているが、みんなが経験していることを経験しない」ということなのです。

メンタルが保てない

中高一貫教育の学校に入学した生徒にちらほら見られることですが、ある程度偏差値が高い学校に入学した子どもは小学校や塾ではしっかり勉強ができていて自分の学力に自信を持っている場合がほとんどです。

しかし入学してみると周りは自分と同じ、もしくは自分より優秀な子どもばかりだったりします。そこで自分のアイデンティティが崩壊するのです。

メンタルが強い子どもは反発心を持って勉強し、喰いついていけるかもしれません。しかしメンタルが弱い子どもは打ちのめされてしまいます。そしてそこには自分と同じ小学校や同じ塾だった子どもが居らず、知らない子どもばかりかもしれません。

すると誰とも話せなくなってどんどん内向的になっていく場合があります。これは自意識が強かった子どもほどその傾向がみられるもので、一度自身をなくしたまま6年間を過ごしたり、途中でやめて地元の公立中学に移る子どももいます。新しい環境に飛び込むことになるので、どれだけメンタルを保てるかが重要になるのです。

このエントリーをはてなブックマークに追加